日韓両政府は12日、東京電力福島第1原発事故で生じた処理水の海洋放出に関して、関係省庁による局長級協議をソウルで開いた。7日の日韓首脳会談で合意した、韓国の専門家らで構成する現地視察団について具体的な活動内容を話し合った。これに先立ち、韓国政府の朴購然(パク・クヨン)国務調整室第1次長は記者会見で「海洋放出のすべての過程についての安全性を検証することを目的にしている」と説明した。(以下略・『毎日新聞』5/13・朝)
引用記事からも窺えるように、水ならば含まれていて当然のトリチウムが検出させている。
汚染水は、事故で溶け落ちた核燃料がある原子炉建屋に、地下水や雨水が流れ込むことで、日々発生している。ほとんどの放射性物質を除去できる多核種除去設備(ALPS)で処理しているが、取り除けないのがトリチウムだ。
トリチウムは三重水素とも呼ばれる放射性物質で、化学的には水素と同じ性質を持つ。通常は水の形で存在し、普通の水に混ざっているため、分離が難しい。
ただ、トリチウムが出す放射線は弱く、紙一枚で遮れると言われている。自然界でも宇宙からの放射線で日々トリチウムが作られていて、2・3年で放射能は半分になる。今回政府が決めた海洋放出による処分では、海水で薄めてトリチウムを基準を満たす濃度にして放出することになった。
国内外の原発や、使用済み核燃料の再処理工場からも、トリチウムは濃度や量を管理して出されており、震災前は全国の原発から毎年計350兆ベクレル前後が海に放出されていた。
国の放出基準は1リットルあたり6万ベクレル。この水を70歳になるまで毎日約2リットル飲み続けても、被曝(ひばく)は年間1ミリシーベルト以下におさまるという。日本で1年間に自然界から受ける放射線による被曝量と同等かそれ以下で、国際的に許容されるレベルにとどまる。
福島第一では、この基準の40分の1まで薄めるとしている。すでに次々に増設したタンクにたまる処理済み汚染水は約125万トンにのぼり、タンクの水に含まれるトリチウムは900兆ベクレル近くある。海水で薄めながら何十年もかけて流すことになる。
放出する際には、基準を満たすかきちんと確認し、情報を公開する必要がある。放出した後も、海での影響評価のモニタリングや風評被害の対策が欠かせない。(藤波優、小坪遊)
日本政府は、夏までに処理水を海洋放出することを計画している。
朴氏らによると、視察団は23~24日に20人規模で派遣。「原発の安全規制分野における最高の専門家」で構成するという。原発で生じる汚染水から、放射性物質を取り除く多核種除去設備「ALPS(アルプス)」などを現場視察する。国際原子力機関(IAEA)の加盟国で、視察団が現地を直接訪れて確認するのは韓国が初めてだという。
韓国以外が視察団を派遣しない理由は、放出する量・質ともに、IAEAで確認が可能で、それを疑う根拠や必要もないからだろう。
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